介護の方法、介護機器・用品の使い方に関するQ&A

介護の方法、介護機器・用品の使い方などに関するQ&Aです。

Q1:寝たきり状態にある方への食事介助について、注意すべきことを教えてください。

A1:ポイントは次のとおりです。
・可能な限り頭部をあげるようにして、困難な場合は、横向きとして介助者の方に向けます。
・飲み込みにくく少量でも満腹感を感じやすいので、ゆっくり落ち着いて介助します。
・飲み物や酸味の強い食べ物は、むせやすいので一回の量と口に運ぶタイミングに配慮します。
・食欲をそそるように、食事の献立や中味を説明するなどの働きかけましょう。
・被介助者が飲み下したのを確認しながら、次の食べ物を口に入れます。
・食事の後は、うがい、歯磨きなどケアは必ず行いましょう。
被介助者の寝具や寝巻きを汚さないように、エプロンなどをかけることも忘れずに・・・。

Q2:座位のとれる方の食事介助において、注意すべきことを教えてください。

A2:自力で座位がとれるか、介助によって座位がとれたのかによって、介助の度合いが変わりますが、被介助者の状況をみながら、介助したり、取りにくそうなものをそばに移すなど、楽しく自力で食事ができるように見守りましょう。
・テーブルの高さは、腹部と胸部の間あたりに調整するのが良く、高くても低くても被介助者は疲れます。
・献立に合わせて箸、スプーン、フォームなどを準備するほか、おにぎりなど食べ易さの工夫も自力での食事を可能にするでしょう。
・被介助者と目線を合わせる位置に座り、落ち着いて介助しましょう。

Q3:誤飲に注意したいのですが、どこに注意すればよいのかわかりません。

A3:寝たままの姿勢で食べると誤嚥の危険性が高く、椅子などで出来るだけ、座位をとるようにします。
・上体をやや前傾して、顎をひいた姿勢がよいとされています。
・座位のとれない方は、ベットの上で上半身をできるだけ高くして、同様に顎をひいた姿勢とします。胃や胸部を圧迫しないような寝具・寝巻きを使用してください。
・食べ易い食品を選択したり、調理方法を工夫しましょう。「嚥下しやすい食品-プリン・茶碗蒸し・麺類など、嚥下しにくい食品-もち・パン・とろろ・こんにゃく・のりまき・生の魚貝類・かたゆで卵・クッキーなど、酢の物・みかんなどの柑橘類はむせやすいので注意する) 」喉の通りをよくするために、みそ汁、スープ、お茶などで喉と口の中をうるおしてから、固形の食品を食べるように介助してください。
 ・飲み込める量だけ口に入れ、きちんと飲み込んだのを確認してから次の食べんものを口に運びます。
 ・固形の食べ物と汁ものを交互に食べるようにしましょう。
 ・被介助者がそしゃく中は返事を求めるような会話は避けましょう。ただし、意識状態が低下している場合は、食べ物を口に入れる毎に、声をかけよくそしゃくして飲み込むように促しましょう。
 ・咳き込んだり、吐き気やチアノーゼがないか食事中もよく観察し、異常を感じたら直ちに食事を止めます。

Q4:食事の際に、誤飲してしまいました。応急的な対応を教えてください。

A4:むせたときは、前かがみの姿勢で背中をさすったり、軽くたたきます。喉に詰まらせたときは、口を大きく開けさせて、詰まったものが見えるときは入れ歯を外し、指でつまん取り出します。詰まったものが見えないとや取れないときは、喉の置くを刺激して吐き出させてください。その時の姿勢は前屈姿勢で、背中、肩、または胸骨の間を強くたたきます。
食物が気管に入ると、激しく咳き込みます。ただちに耳鼻咽喉科の医師に取り出してもらいます。

Q5:食欲がないときは、どうすればよいでしょうか。

A5:お年寄りは、体力や機能が弱まってくるため、健康状態によって、普通食・やわらかく煮た軟食・ほぐしたり、きざんだりしたきざみ食・ミキサーにかけたミキサー食・おもゆのような流動食などのように食べやすい内容にします。
一般的に、パサパサしたものや、水分の多いもの、酸味のきいたものより、表面がなめらかでソフトで適度な粘りがあるものが喉の通りも良く、ゼラチンや寒天で固めたり、とき卵やを混ぜたりすると食べ易くなります。
調理では、材料を細かくきざんだり、隠し包丁を入れたり、たたいたりして噛み易くすることも大切です。
入れ歯や歯が悪い方のためには、ゴマなど歯ぐきの間に挟まり易いものはすり潰し、豆腐や卵、チーズや豆腐を上手に使った料理などが食べ易い。冷たいものや熱すぎるものは避けた方がよいでしょう。市販の嚥下補助食品、栄養強化食品もおいしく、食べ易いものも多いので併用するのもよいでしょう。
食欲は健康のバロメーターです。食欲不振の原因は様々です。運動不足や行動範囲が狭くなったことも考えられます。医師への相談もお勧めします。

Q6:なんとか自力でトイレまで歩くことができるのですが、今後のことが不安です。

A6:まず、トイレと寝室の距離をできるだけ短くするように工夫します。そして、トイレまでの通路や壁に手すりをつける。トイレは、洋式便器(温水洗浄機能があれば自分で始末がしやすい)・手すり(L型手すりのほうが立ち上がり、腰掛け動作がしやすい)をつけてはどうですか。(住宅改修という制度があります。)
その他にも、
・照明は明るくし障害になるようなものや段差を無くす。
・滑らない履物を用意し床がぬれているときは拭き取っておく。
・トイレ内の手すりやトイレットペーパーホルダーを使いやすい位置にする。
・トイレ内を暖かくし部屋との温度差をなくす。
・排泄しやすい衣服の工夫をし、動作に時間をかけない。

Q7:夜中に何度もトイレに起きてしまいます。

A7:お年寄りに排尿障害が起きやすい原因は色々ありますが、特に夜間頻尿になるのが特徴です。
①治療の可能性を確かめましょう。②日中の活動を多くして、夜眠れるようにしましょう。
そのほかにも、③尿器やポータブルトイレを使用して、身近で手早く排尿できるようにしましょう。寝る前は水分を控えめにしましょう。 ④衣服を排せつしやすいものにしましょう。⑤場合によっては失禁パンツやパットを使い、漏れへの対応をしましょう

Q8:寝たきり状態にある方への排泄介助について、注意すべきことを教えてください。

A8:介護をする際の基本姿勢として、要介護者に残されている能力(「残存能力」と言います)を活用して自分でできることは極力自分でするように働きかけ、その行動を必要に応じて見守ることが大切です。
そういった意味で、もしその方が体を起こしてポータブルトイレ等を利用することができるのであれば、ポータブルトイレを用意するなどして、ベッド等から降りて排せつするような方法を考えてください。
どうしても座った姿勢を保つことができない場合は、差込み便器や尿器を利用するなどして排せつを介助することが必要になります。尿意・便意がある間は、可能な限り、おむつ等の利用は避けてください。

Q9:寝たきり状態のため、介護が大変です。おむつを考えていますが、本人も抵抗があるようなのですが。

A9:尿意・便意は伝えられる状態ですか?おむつを利用することは、要介護者の自尊心を深く傷つけるケースが多いので、できる限り使わない方がいいのではないでしょうか。おむつの使用は、尿意も便意も全く訴えることのできなくなった場合の最後の手段と考えましょう。
●失禁を減らすために
①ちょっとした工夫で失禁を減らしましょう。水分の取り過ぎに注意しましょう。
②衣服は着脱の簡単なものを選びましょう。
③部屋をトイレの近くにしたり、ポータブルトイレを設置してみましょう。
④差し込み便器や排尿器を使用してみましょう。
⑤時間を見計らってトイレに誘いましょう。
⑥排せつしたい時の態度や身振りを観察しましょう。

Q10:衣服の着せ方・脱がせ方といった着替えの介助方法を教えてください。

A10:●かぶりものの場合(パジャマなど)
★ポイント
座位が取れるときは、できるだけ安定した座位で行うようにします。
襟ぐりを充分広げます。
身ごろが上下しにくい場合は、適宜、体位を変換しながら行いましょう。
身体の下になる部分にシワやタルミがないように注意して着替えます。
片麻痺や骨折等の障害がある場合は、健側から脱がせ、患側から着せます。(脱健着患)
腕が上がらない、肘が曲げられない場合は、先に頭部から脱がせ、着せるときは、袖を通してから頭部を着せるようにします。
※脱がす
ボタンがあればはずし、首回りを緩めて、身ごろを脇の下までたぐりあげます。
次いで袖を片方ずつ脱がせますが、片麻痺等の場合は健側の袖から脱がせます。
襟ぐりを伸ばして広げ、顔面の側から頭部を脱がせます。
※着せる
上衣を裾からたぐって襟ぐりを広げ、顔にひっかからないように注意しながら頭を通します。
次いで袖をたくしもって、片方ずつ腕を通して最後に身ごろを下方に引き下げます。片麻痺等の場合は、患側の腕から通します。
●ズボン
★ポイント
殿部の着脱で、一度に引き上げ、下げしにくいときは、適宜、体位を変換して行います。自力で腰を上げられる人、膝を曲げられる人は、声をかけて腰を上げたり、膝を曲げるなど本人の協力を得ましょう。片麻痺や骨折等の障害がある場合は、健側から脱がせ、患側から着せます。(脱健着患)
※脱がす
まず介助者側の側臥位から片側をできるだけ引き下げ、次に仰臥位または反対の側臥位になってもらい、もう片方を下げ殿部を脱がせます。足先に向ってズボンをたぐるように脱がせます。このとき、膝が立てられる人には、立ててもらいましょう。
※はかす
ズボンの脚の部分をたくしもって、片足ずつ通し、大腿部まではかせます。介助者側の側臥位から片側を引き上げ、次に反対の側臥位になってもらい、もう片方を引き上げ殿部をはかせます。
そのほかにも、以下のことに注意しましょう。
◆室温を22℃から24℃に調節し、カーテン等でプライバシーを保護する。
◆タオルケットの下で行い、露出を少なくする。
◆寒い時季には、衣類や介助者の手を温める。
◆発汗や失禁などで体が汚れていたら拭き取り、清潔を保つ。

Q11:衣服の着せ方・脱がせ方といった着替えの介助方法を教えてください。(パート2)

A11:●浴衣など(寝たきりの場合)
★ポイント
袖を脱がせるときは、肩の部分を先にはずします。 袖を通すときは、袖口をたくしもち、袖口から手を入れて本人と握手するように手先から通し、肩の部分を着せます。
背中の下にシワやタルミが残らないように、腰部、足元で背縫いを中心に引きのばし、肩と殿部で横に引き伸ばします。着物の前合わせは左前にしない。紐は縦結びとならないように結びましょう。
★方法
できるだけ本人に近づき、介助者側の側臥位から汚れた着物を脱がせ、身体の下に押し入れます。(内側にまるめてチリ等がシーツに落ちないようにしましょう) 新しい着物の背縫いと背柱を合わせて半身を着せます。もう片側の半身を身体の下に押し入れます。このとき、紐を締め位置に入れます。
仰臥位に戻し、汚れた着物を引出し脱がせ、次いで新しい着物を引出し袖を通して着せます。
着物の前身ごろを合わせ脇線を足元に引き、背中のシワやタルミを伸ばし、襟を整え、紐を結びます。
●浴衣など(片麻痺のある場合)
★ポイント
いったん全部脱がしてしまうことになるので、保温やプライバシーには充分配慮して下さい。
介助者は本人の健側から介助し、健側から脱がせ、患側から着せるようにします。身体や四肢は、関節や大きな筋肉を支えるようにもち、無理に動かさないようにします。身体の下に着物を押し入れるとき、肩及び腰部はベットを押すようにしながらしっかりと押し入れます。
★方法
できるだけ本人に近づき、健側からら汚れた着物を脱がせ、身体の下に押し入れます。健側を下にし、背中側から汚れた着物を引出して患側を脱がせます。側臥位のまま患側に新しい着物の半身を着せ、もう片側の半分は身体の下に押し入れます。このとき紐を締める位置に入れておきます。
仰臥位に戻し、新しい着物を引出し健側を着せます。 着物の前身ごろを合わせ脇線を足元に引き、背中のシワやタルミを伸ばし、襟を整え、紐を結びます。

Q12:入浴の際の介助方法を教えてください。

A12: お風呂に入れるときは本人や介護者も緊張します。転倒などに気を付けましょう。
●お風呂に入れるときの注意
①お風呂の入り口では、敷居をまたぐとき床が滑るので危険です。手すりは縦に付けておくのが良いでしょう。お風呂の床にすのこを敷いて、入り口と同じ高さにしましょう。また、同じ高さにすることにより、シャワーキャリー(キャスター付きのイス)に座ったまま浴室に入ることもできます。
②浴室では、壁に手すりを付けましょう。床に直接物を置かないようにしましょう。浴室のドアは外開きにしましょう。浴室の中が滑りやすい場合は、滑り止めマットを敷きましょう。(マットも動く場合があるので、全て敷きつめる方がより安全です。)
お風呂に入る前にも、気を配りましょう。食事の前後1時間は避けましょう。発熱していないか確認しましょう。排せつを済ませておきましょう。 寒いところでの着脱は危険です、部屋の温度は25度前後が良いでしょう。お湯の温度は40度前後で、不整脈や心臓の弱い方は37度前後が良いでしょう。

Q13:なんとか自力で入浴できますが、今後も自力で入浴するために気をつけることはありますか。

A13:なるべく、次のようなことに気をつけましょう。
・家族や介助者のいる時間に入る。
・浴室は、中から鍵をかけない。
・頻繁に声をかけ、顔を出して様子を見る。
・立ち上がりの動作はゆっくり行い、立ちくらみを避ける。
●浴槽に入るとき
立ってまたぐより、腰掛けてから移動するほうが安全  浴槽のふちにつかまって腰掛ける。
・健側の足を浴槽に入れる。
・患側の足を健側の手で浴槽に入れる。
・手すりにつかまり、ゆっくり浴槽に入る。
湯につかるのは、胸から下にして、浴槽の縁を健側でつかんでいると安定を保持しやすい。
●浴槽から出るとき
急に立ち上がると、立ちくらみをするので注意する。
手すりをささえにして腰を浮かせ、バスボードに腰掛ける。
患側の足を外に出してから健側の足を出す。
●体を洗うとき
安定がよく立ち上がりやすいいすに腰掛けて洗う。 健側の手は太ももにタオルを乗せて洗う。
背中などの届かないところは、長い柄のブラシを使う。健側の手や足は吸盤付きブラシも洗いやすい。手ぬぐいに片方の手が入るように取っ手をつけると便利。
※手ぬぐいを絞るときは、脇や膝にはさんだり、水道の蛇口にかけると絞りやすい。

Q14:介助で入浴する場合(片麻痺の場合)には、どのようなことに気をつければよいでしょうか。

A14: 入浴にはさまざまな危険が伴いますので、かかりつけ医(主治医)など医師の指導のもとに十分な準備をして、慎重におこなうことが重要です。 転倒防止のために浴室内を整理整頓することや 体温や顔色、脈拍により要介護者の体調をチェックすることも忘れてはいけません。残存機能を活用して、シャワーチェアを利用したり手すりを取り付ける等により介護者の負担軽減も必要です。
また、食前食後の1時間は避け、体調不良の時には無理におこなわないようにしましょう。入浴後は湯冷めをしないように素早く全身を拭き、また、発汗によって失われた水分の補給をおこなうようにしてください。
次のような点にも注意しましょう。
●浴槽に入る
腰に力帯を巻き、健側を浴槽に向けていすにかけ足元から全身へかけ湯をし、陰部を洗ってからバスボードにずれる。
患側を引き寄せ、力帯をしっかり持って静かに沈む。この時、本人の足が前に滑らないように、浴槽の壁にそうように座り、介護者の両足で本人の足の滑りを防ぐとよいでしょう。浴槽の縁を健側でつかませ、肩に手を沿えてかたわらで支える。
●浴槽から出る
力帯を持つか、腰を支え、バスボードに腰掛ける動作を手伝う。
患側の足を手伝い、健側の足を出すときの姿勢を支える。
●体を洗う
体の先から心臓に向かって洗う。
頭を洗うときはシャワーキャップの利用が便利。
できるところは、本人に洗わせる。
洗い残しに注意をする。

Q15:寝たきりのため、入浴はたまにしかできません。清拭の際の注意点を教えてください。

A15:昼間の暖かい時間におこなうこと、あらかじめ部屋を暖かくしておくこと、排せつを済ませてからはじめることです。
また、入浴と同じように食事の前後1時間は避け、体調不良の時には無理におこなわない等の注意も必要です。
具体的には、次のような手順で行います。
①清拭する部位の寝衣を脱がせる。保温のために拭く部位以外は、バスタオルなどをかけておく。
②石鹸をつけたタオルで清拭し、その後石鹸分を取り除くため、きれいな湯で絞ったタオルで拭く。(清拭剤を使用した場合は拭き取る必要がなく便利です。)
③乾いたタオルで、水気を充分に拭き取る。
④寝衣を着せ、安楽な体位を取る。
⑤必要に応じて、爪や皮膚の手入れをする。
・顔は、目頭から目尻へ、額、頬、小鼻、口の周辺、下顎、耳介、耳の後、首への順で清拭し、左右の目の周辺はタオルの面を替えて拭く。耳、首のしわ、顎の下は汚れがたまりやすいので注意する。
・上肢は、指先や指の間は丁寧に拭く。手のひら、手首から腕の付け根に向かって拭く。わきの下も念入りに拭く。
・胸部は、顎から胸部にかけて縦に、また鎖骨に沿って斜めに拭く。乳房の周りを拭く(女性の場合は、乳房の下に汚れがたまりやすいので注意する)。
・腹部はへその周りで「の」の字を書くように拭く。
・下肢、足部は、膝を立てて足首から股の方向に拭く。指先、指の間は丁寧に拭く。足の甲、膝の後ろは汚れやすいので丁寧に拭く。指の間は軍手を用いると便利。
・背部は、臀部から肩甲骨の方向に向かって拭く。肩甲骨に沿って斜めに拭く。
・臀部は、丸く拭く。
・陰部は、男性の場合は、陰茎のしわ襞の間の汚れを拭き取り、陰のうは静かに拭く。女性の場合、陰唇を開いて襞の間の恥垢を前(尿道口)から後ろ(肛門部)に向かって拭き取る。
(台所用洗剤の空き容器を利用して、シャワー洗いを1日1回実施するとよい。)

Q16:顔、口の中の清潔について教えてください。

A16:洗顔や歯磨きをしないでいると、顔や口の中がべとべとしてきます。清潔でさっぱりした状態を保つことで生活の自立へとつながっていきます。
自分でできない人の場合は
①蒸しタオルで、内側から外側に向けてS字型を描くようにして拭きましょう。
②髪の生え際、耳や耳の後ろ、顎の下、首なども丁寧に拭きましょう。
③目は目頭から目尻に向けて拭きましょう。
④目やにがある場合はぬれたカット綿などで拭き、無理に取らないようにしてください。量が多かったり、充血していたら医師の診断を受けてください。
★歯みがき(口腔清拭)が自分でできない場合
口の中の汚れを取り除くことで細菌感染を防ぎ、病気にかかりにくくなったり、食欲を増進させます。
歯ブラシが使えないときは、綿棒やガーゼなどを使って行います。まず手を洗い、綿棒にガーゼを巻き、輪ゴムでとめるまたは割り箸に綿を巻きつけガーゼをかぶせ輪ゴムでとめたものを使います。片方の指(人差し指など)でほほと歯肉の間を広げるようにし、口の中を拭き、歯の表面や口蓋(上あごのドーム状の部分)、舌の汚れは指にガーゼを巻いて拭くとよいでしょう。
※市販のものもあります。
紙製等のスティックの先端にスポンジがついているもので、濡らさずにそのまま使います。使い捨てです。
移動が困難でも自分で洗える人の場合は、ベッドの上でも自分でおこなうのが理想的です。
●たとえ離床が困難だとしても、毎朝起床して顔をきれいにし、さっぱりした気分で一日のスタートを切るようにすると、暮らしにもリズムやメリハリがでます。

Q17:寝たきり状態の場合、床ずれなどが心配です。

A17:床ずれは、同じ姿勢で長い時間寝ていると、ベッドに圧迫されているところ(特に尾骨などの骨の出っ張っているところ等)の血管が圧迫され血行が悪くなり、炎症が起きておこるものです。従って床ずれの 最善の予防法は、寝たきりにしないことですが、 どうしても寝たきりで体を起こすことができないという場合には、最低でも2時間おきくらいに体の向きを変えます(体位変換)。
また、身体を清潔に保ち、栄養状態を良好に保つことも重要です。床ずれを予防する用具としては
(1)要介護者の体を動かし、身体を支える面を変えるもの(体位変換器)
(2)より広い面で身体を支えることにより体重の圧力を分散するものがあります。
※床ずれ予防用のクッションやマットレス等がありますので、専門家に相談して要介護者の身体状況にあったものを選択しましょう。

Q18:寝たきり状態の場合、床ずれなどが心配です。床ずれになった場合の手当てについて教えてください。

A18:床ずれは早期発見と適切な手当てが大切です。入浴、清拭(せいしき)や着替えの時などに皮膚が赤くなっているところがないか注意して観察しましょう。赤くなっているのは床ずれの第一段階です。床ずれを発見した場合には、医師や看護婦などの専門家に相談し、早い段階で対処してください。
●手当てを行う場合の手順
①利用者に処置を説明して、タオルケットをかけて、他の掛け物を足の方に扇子折りにします。②側臥位または腹臥位で背部を露出し、バスタオルで覆います。③熱い湯(55℃)で背部を清拭し、バスタオルで湿気を拭取ります。④発赤や軽度の圧迫創がある場合は、こすらずにタオルで軽く吸い取るように拭きます。⑤市販の清拭剤等を用いて、背部をマッサージします。⑥マッサージは全身清拭と同様に行いますが、骨突出部は中心から外側へ円を描くように広範囲に行います。赤発、圧迫創は周辺部から行い摩擦はしないようにします。⑦利用者に寝衣を着せ休ませます。

Q19:ひとりで外出することを望んでいるようです。注意点を教えてください。

A19:「自分で歩く」という気持ちが大事です。その気持ちを大切にして下さい。
安全な歩き方
①杖を使って歩いてみましょう。②最初は、介助者が腰ひもや介助用ベルトなどをつかんで介助します。③良い方の手で杖を出します。④次に悪い方の足を出します。⑤最後に良い方の足を出します。
この方法が合わないときは、良い方の足から出してみたり、専門家に相談してみましょう。
現在の身体状況をきちんと理解しましょう。体力的なことも考慮して、家の中、庭、外と順番に進めてください。 外出するときには、身元がわかるようにしてください。近隣の方には、「散歩」していることを伝えておいてください。 服装は交通事故に対応するためにも、明るい服を選んでください。履きやすく、歩きやすい靴を選んでください。

Q20:杖を選ぶときのポイントを教えてください。

A20:「握り」と「長さ」が杖を選ぶポイントです。
杖は握りの形によって安定感が違います。
①軽く体を支える程度の方はステッキを。②T字型は一番使われるタイプで上から力をかけやすい。③握力が弱い人でもしっかり握れるのはL字型。④足に力が入らない人は多点杖。⑤腕ごと支えるロフストランドクラッチなどがあります。種類によっては右手用左手用があります。⑥杖の長さは肘が150度に曲がる長さが良いと言われています。⑦目安は、手首の3から5センチ上に杖の握りがくるのがよいでしょう。
杖を嫌がるお年寄りは多いようです。選ぶ時は、大きさや太さが自分の手に合っていることが第一ですが、色の好みなどを配慮すると、外出も楽しくなります。 杖の先端チップは、定期的に交換しましょう。介助する時は、反対側に立ち後ろからベルトを持って支えると安定します。

Q21:車椅子の選び方を教えてください。

A21:使いやすい車いすを慎重に選びましょう。
車いすの種類
①自走式車いすは自分で動かす車いすです。ハンドルリムという金属製のハンドルが付いていて、手で駆動輪を回すようになっています。
②介助式車いすは、人に押してもらう車いすです。駆動輪は小さくハンドルリムはありません。
③電動式車いすは、電動モーターが付いていてレバー等で操作して走行することができます。
どこで、どのように使いたいのか、使用する目的を整理しましょう。車いすを選ぶのは難しいので専門家に相談しましょう。
-疲れない車いすの条件-
・座ったとき両脇のゆとりは、せいぜい3センチ前後
・ひざ裏がいすにくっつきすぎない
・背もたれは肩甲骨の下にくるように

Q22:ベッドから車椅子へ移動する際の注意点を教えてください。

A22:残存機能がある場合は、できる限りその機能活用を心がけましょう。
・端座位にし、健側に車椅子を20~30度の角度に置きブレーキをかけておきます。
・介助者は足を適度に開き、安定した姿勢で動作を行うようにします。
・利用者は、介助者の首に腕を回し、介助者は利用者の足を両膝で挟みこむように支えます。
●介助の方法
★全面的な介助
適切な位置に車椅子を置きます。(ブレーキをかけしっかり固定します。)端座位の状態から利用者は、介助者の首に腕を回し、介助者は利用者の足を両膝で挟みこむように支え、腰に力を入れて声をかけながら持ち上げます。
介助者は利用者の介助用ベルト等を持ち、股間に大腿部を挟み込み、90度回転するように車椅子に移します。利用者が車椅子に腰掛け姿勢が安定したのを確認し、車椅子の後ろに周り、利用者の身体を引き寄せるように深く腰掛けさせます。最後にフットレストに足を乗せます。
★片麻痺がある場合の介助
車椅子を健側に置き、健側の手でアームレストを握ってもらうようにします。利用者の膝を保護し立ち上がってもらいます。介助者は肩や腰に手を添えて、利用者が健側の足を軸として90度回転できるように介助します。利用者が90度回転し、腰掛けたら健側の足に力を入れて安定した姿勢をとるように促します。安定した姿勢が確保されたのを確認して、介助者は車椅子の後ろから介助用ベルトなどを引き座席に深く腰掛けさせます。最後にフットレストに足を乗せます。
★介助用ベルト
介助用ベルトは、概ね骨盤の上端にかけます。但し上向きに力を加えるとすぐずれますので横方向に力を加えます。骨盤と胸部との間で締めると、上向きに力が加わったときにずれは少なくなりますが、肋骨に負荷がかかるので注意が必要です。

Q23:車椅子からポータブルトイレへ移動する際の注意点を教えてください。

A23:ポータブルトイレはつかまる部分のある製品を選択してください。利用者の健側の手と足を活用します。立位でのバランスを崩さないように腰を回転させてください。このとき、回転はゆっくり骨折の恐れがあります。利用者が乗り回転を容易にする回転板(ディスクエイド)を利用することも考えましょう。
●介助の方法
★ディスクエイドを使用しない場合
車いすとポータブルトイレを回転させる位置を中心として直角に配置します。利用者を立たせます。介助者は利用者の正面に立ち、利用者の股間に右足を入れ、その足を軸に回転しながら、利用者の向きを90度回転します。下着は利用者を立たせたときか、ポータブルトイレに座ってから下ろします。
★ディスクエイドを使用する場合
車いすとポータブルトイレをディスクエイドを置く位置を中心にして直角に配置します。ディスクエイドを利用者の足元に置きます。 ディスクエイドの上にゆっくり利用者を立たせます。立位が安定したら静かに90度回転します。ディスクエイドの上で利用者を支えながら回せば、ディスクエイドの回転に合わせ利用者の身体が回転します。下着は利用者を立たせたときか、ポータブルトイレに座ってから下ろします。
※ディスクエイドの操作について
介助者はつま先をディスクエイドに乗せ、かかとは床につけたままでディスクエイドを操作します。(足全部をディスクエイドに乗せてしまうとしっかり止めることができません。)

Q24:衣類や寝具の衛生管理で気をつけることはありますか。

A24:●衣類:衣類の汚れを放置しておくと悪臭を生み、吸湿性、保温性も低下し、発疹やかゆみなどの原因にもなります。
下着は毎日交換するのが望ましく、衣類の洗濯は、すすぎを充分にし、日陰に干すなど干し方に注意します(直射日光による乾燥は紫外線による殺菌効果があるが繊維の脆化変色などが生じるため)。衣類は、よく乾燥したものを着用するようにします。
新しい衣類は、一度洗濯をして使用するようにします。 感染の疑いがある場合は、衣類を他の物と区別して洗濯するようにします。
●寝具
寝具の特性を知って適切なものを選びます。掛け寝具は季節・室内環境によって変え、調節します。寝具には、カバーをかけ、汚れたら洗濯をします。シーツには、のりを効かせすぎないようにします。

Q25:感染症などを防ぐにはどうしたらよいでしょう。

A25:お年寄りは抵抗力が低下していますので、少しのきっかけで感染しやすく、急激に病状が悪化します。
風邪から肺炎をおこしたり、食中毒の感染、尿路感染に特に注意が必要です。
●身体を清潔に保ちましょう
手洗いは介助者も本人も十分行いましょう。
手が汚れたとき、排泄の始末後、外出後、食事前は必ず手を洗いましょう。
手洗いは最低10秒間、指と指の間もしっかり洗いましょう。
食後の口の中の清拭、トイレのあとの陰部の清潔も大切です。
寝具、衣類も清潔に保ち、室内の清掃、換気も十分に行いましょう。
●風邪、インフルエンザを防ぎましょう
肺炎や高熱による急変に十分注意しましょう。
流行時の外出はなるべく避けて、外出時にはマスクをするようにしましょう。
帰宅後は必ず手洗いとうがいを行います。
風邪をひいた人はなるべく近づけないようにしましょう。
水分を十分に取り、室内の乾燥を避けましょう。
インフルエンザの予防接種は医師に相談して。

Q26:横になっているとすぐに眠ってしまいます。寝たきりにならないか心配です。

A26:お年寄りは生理的に睡眠時間が短くなります。老化現象の一つとして脳の機能が全体的に衰えるため、昼間でもよく居眠りをすることがあります。
お年寄りは夜の眠りを続ける機能が衰えて、ときどき目が覚めてしまうことがあります。
お年寄りの睡眠は多相性睡眠といって、一日に何回も睡眠を取るようになります。
以上のことから、お年寄りは寝つきが悪く、眠りも浅い、夜間何回も目が覚め朝早く目が覚めます。
ご質問の横になるとすぐに眠ってしまうことも、このような現象のひとつです。日中は寝室を離れ、生活にメリハリを作る工夫をしましょう。
●上手な起こし方
①両手をお年寄りの両肩の下に入れ、お年寄りに両手で首にしっかりつかまってもらいます。②「1・2・3」と声をかけ、お年寄りに協力してもらい、上半身を起こします。(電動ベッドを使用の場合は、ギャッヂアップ機能(背上げ)を利用すると、上半身を簡単に引き起こすことが出来ます)。③手をお年寄りの膝の下に入れ、体を回して足をベッドの外に出し腰掛けさせます。
★過度の安静は逆効果です。日中は、適度な運動や趣味などで楽しく過ごしましょう。

Q27:食後すぐに「ごはんはまだか。」と聞かれます。近所でごはんを食べさせてもらえないと話すので困っています。

A27:痴呆症老人の中には、食事をしたばかりなのに食べたことを忘れて、再々、食べ物を欲しがる人がいます。また、いつも空腹状態で、自分の食事だけでなく他の人のものも食べたり、食べ物を探し出して、口の中に詰め込んだりします。
●対処方法
①カレンダーに「朝食べた」「昼食べた」と、老人と一緒に書いて納得してもらう。②次の食事時間を知らせる。③いま、食事の準備中であることを話す。④食器を小さくして、おかわりに応じる。⑤長持ちする飴やカロリーの低い軽いものを、お茶と一緒に食べられるようにする。⑥身近に必要以上の食べ物を置かない。
※女性の方であれば、昔ご自分がご飯の用意をされていた建研がある場合は、食事の準備や後片付けを一緒に手伝ってもらうことがひとつの対策と考えられます。
また、話題を変えて「忘れること」を利用しましょう(散歩、簡単な運動、遊び、作業)。「さっき食べたでしょう」と言っても「私は食べていません」と、かえって反感を持たれてしまいます。「もうすぐできるので待ってね」とか「ちょっと作るのを手伝って」とか言って、待っている間に忘れる方向へ導くのもよいでしょう。

Q28:お金を盗まれたと言っては、私を泥棒扱いするので困っています。

A28:味方になって一緒に探しましょう。もし見つかった時も、家族が見つけると「やっぱりあんたが盗んだのでしょう」と言われてしまうことがあるので、「この辺りを探してみましょうか」と、うまい具合に本人が見つけるように誘導しましょう。大切なものをなくしてはいけないという思いから、どこかにしまいそのまま忘れてしまうことがあるようです。

Q29:出かけたまま行方不明になることがあり、とても心配です。

A29:徘徊とは、目的も無くうろうろ歩き回ることで、異常行動の中でも難しい問題です。他人から見ると徘徊であっても、本人にとってはそれぞれに理由があり、なぜ徘徊が起きるのかを考えてみることが必要となります。それから対処を考えてみましょう。
●外出したがる場合
①出口に外出を思いとどまるような言葉「今、外に出ると危険です」などを紙に大きく書き、老人の目の高さの位置に貼る。② 「夕食後にしましょう」と言って延期する。③一緒に出口まで言って「今日は○○は休みでしたね」と言ってもどってくる。④落ち着かせてから、家の周りを歩いてから家に入る。⑤無理に外出を止めようとすると興奮状態になることがあるので、何らかの働きかけをする。
●外出した場合
①「途中まで一緒に行きましょう」と言ってついていき散歩をしてから家に入る。②一緒に出て行った場合は、「道がわからなくなったので家に戻って地図で調べてからにしましょう」などと言って家に帰る。③家に帰ったら、「今日はもう遅いので明日にしましょう」と言って外出を中止する。
●捜し出す場合
①隣近所や交番、駅の改札口などへ、老人の特徴を書いたものと写真を預けておき、もしものときに連絡を得られるように依頼する。②住所、氏名、電話番号を書いた布を、老人の自尊心を傷つけない方法で衣服に縫い付けたり、ペンダントとした首にかける。
●外出を知らせる福祉用具
①痴呆性老人が屋外へ出ようとしたとき、センサーにより感知し、家族、隣人等へ通知する。 「痴呆性老人徘徊感知機器」があります。介護保険制度の福祉用具貸与で借りることができるものもあります。お近くの在宅介護支援センターや居宅介護支援事業所の介護支援専門員等にご相談ください。

Q30:自宅にいても、家に帰るとききません。

A30: できれば一緒に出かけて、話しかけたり、一緒に休んだりして、気が晴れたら家に帰りましょう。この場合の「家は」子供の頃の「家」を思い出したり、現存しない過去の記憶を指している場合などがあります。
まず、お年寄りの主張を全面的に受け入れ、お年寄りの立場を考えてあげましょう。
言葉で納得するより、家の周りを歩いたほうが心は落ち着きます。平素より、時間と場所、すなわち「ここがどこであるか」を現住所や電話番号を含めて、確認しておくことも予防の1つです。